ブラックチェリーの無垢材を使い、ほぞ組みでしっかりと仕上げたフレームにペーパーコードの座面を封筒編みで組み合わせた、こだわりの一脚です。
自作の治具を活用しながら、DIYで丁寧に仕上げた製作過程をご紹介します。

1 DIYでもできる!本格椅子の設計・デザインのポイント
スケッチアップを使って設計しています。
座面の高さが360mm。これは、一般的なダイニングチェアの高さ(420〜450mm)と比べるとかなり低いものですが、我が家のダイニングテーブルの高さが650mm(一般的には700〜720mm)と低いものだったため、これに合わせた設計としました。
椅子の高さについては、差尺(テーブルの高さと座面の高さの差)が270〜300mmとなるように設計すればよいと思います。
また、椅子の構造で基本となるのは、各面(4面)それぞれで、材が「四角」の組み合わせとなるようにして強度をもたせることです。
後脚部分は背板と幕板で四角形となっていますので、貫はなくても構いませんが、これがあってもデザイン的にはおかしくないため、より強度を高めるために設置してます。
なお、脚の先端や背の先端部分は少し細くすること、全体としてシャープなイメージがだせるようにしました。
ただし、DIY初心者でも加工がしやすいよう、ほぞで接合する部分は、直角に交わるようにしています。

2 広葉樹をネット通販で調達!DIY椅子づくりに必要な材の寸法と量
一般的に、広葉樹はホームセンターには置いていませんので、ネット通販で購入することとなります。
今回の材料は、「マルトクショップ」さんのネット通販で購入しました。注文画面で、ブラックチェリーを選択して、縦・横・厚みを入力すれば見積もり金額が表示され、とてもわかりやすくなっています。
注文する際に「長さ方向の伸び有り(ジャストカット無し)」を指定すると、長めのカットで少し安くなったり、作品の写真を送ると次回、5%割引になったりします。
なお、今回、下記のサイズ(ジャストカット無し)で注文し、トータル1万円弱で購入しました。
▼幕板(前幕板:444mm、側幕板420mm 厚さ:20mm)

▼貫(前貫:444mm、側貫420mm、厚さ:20mm)

▼前脚、後脚(厚さ:28mm)
※前脚部分と後ろ脚部分は、縦686mm、横100mmの長方形で注文し、この中で自分で切り分けて加工しました。

▼背板(444mm、厚さ27mm)3本

3 DIY椅子の脚を加工|作業工程と使った道具をご紹介
(1)DIY椅子の脚をジグソーで粗加工
まず、前脚と後脚は、1枚の板(100mm✕686mm)で注文したので、ジグソーまたはノコで、切り分けていきます。
また、足先と背の先の部分は細くしていますので、同様にカットします。この時、寸法ぴったりではなく、少しだけ余裕を残してざっくりとカットをしていきます。(こういう時にバンドソーがあれば、より簡単に加工ができます。)

ブラックチェリーは、そこそこ硬い木ですので、ジグソーを使ってカットする場合は硬木用のブレードを使って、速度を落としてカットすることをお勧めします。
またノコでカットする場合も、まっすぐカットするのは意外と難しいものです。墨線の内側にはいりそうになったら、一旦、仕切り直すなどして慎重にカットしてください。
▼自作のジグソーテーブルを使ったカット

▼今回使用したブレード LENOX FAST&CLEAN HARDWOOD

(2)材の厚みや脚の先端をカンナを使って調整
ジグソーなどでざっくりとカットした後は、カンナを使って墨線の位置まで調整していきます。
▼前脚の先端部分が少しずつ細くなるようカンナで加工

(3)後ろ脚の曲面加工|スクレーパーで対応
後脚の「くの字」に曲がった部分は、カンナをあてることができません。
そこで、この曲がった部分には、「木工用スクレーパー」を使います。スクレーパーをたてて木にあてることで、カンナでは削れない部分も削ることができます。
▼木工用スクレーパー

(4)電動ドリル+角ノミアダプターで精密ほぞ穴
今回の椅子の場合、合計で27箇所、ほぞ穴をほる必要があります。また、きちんとした椅子のフレームを組むには、精度の高い加工が必要となってきます。
手加工だけでは、なかなか厳しいものがあり、DIYで椅子を製作する場合に、この加工が一番ネックになるのではないかと思います。
専用の「角のみ盤」はDIYモデルでも高価で、なかなか手がでません。
そこで、お勧めするのが、電気ドリルとドリルスタンドの「角のみアダプター」を使った加工です。
なお、「ほぞ」の長さは20mmにしており、ほぞ穴を22〜23mm程度の深さで加工しました。
※SK11のドリルスタンドと角のみアダプター、イーバリューのドリルを使用
(角のみアダプターについては別の記事で詳しくご紹介しています。)

▼幕板と貫のほぞ加工
※図面では、ほぞとほぞ穴は10mm✕10mmとなっていますが、角のみは9mm✕9mmでしたので、角のみの大きさに合わせました。「ほぞ」は10mmのままで加工して、少しきつかったですが、ほぞがよく効くようにしました。

▼背板の部分のほぞ加工

(5)自作の治具を使った精密ほぞ加工
椅子の製作においては、「ほぞ穴」の加工と同様に、「ほぞ」が精度高くカットされていないと、うまく組み上げることができません。
「ほぞ」は、横幅が太すぎると、ほぞ穴側の材が割れてしまいますし、逆に縦幅は「ほぞ穴」より少しだけ大きいぐらいにカットして、しっかりと「効く」状態にする必要があります。
テーブルソーで機械加工する方法もありますが、今回はノコでも精度の高いカットができる治具を使用して、縦斬りをしました。
どのくらいの幅が適当か、余った材で試してみてから、最終的にカットすることをお勧めします。
▼自作の治具を使った加工。(この治具は別の記事で詳しくご紹介しています。)

▼縦斬りは完了

▼横切りは、この自作の丸ノコスライド台を使用しました。

▼縦斬りした材を横において、刃の出し方を調整します。

横切りに丸ノコスライド台を使用したのは、ほぞの胴付き部分に段差が生じないようにするため。手加工では、どうしても段差が生じやすくなります。(ほぞの写真を取り損ないましたが、概ねうまくいきました。)
4 背板の曲面をトリマーでならい加工
背板の曲面を加工します。ベニアで作成した曲面の型をあてて、同じものを3つ製作します。

▼自作のジグソーテーブルでカット。外側の墨線でカットして、最終的に内側の墨線の位置で仕上げます。
▼ざっくりカットした背板にベニアの型を両面テープで貼り付けます。

▼トリマーでベニアの型に沿って「ならい加工」をして、3本の形をととのえます。

5 面取り・組み立て・塗装
すべての材が揃ったら最後に面取りをします。今回、少し丸みを帯びた柔らかい印象にしたかったのでトリマーのコーナビット1分(3mm)を使って面取りをしています。
面取りまで終わったら、一度、ボンドなしで仮組みをしてみて、問題なく組み立てができるかを確認してみます。「ほぞ」がきつすぎたり、「ほぞ穴」の深さが足りなかったりして、きれいに組み立てができないことがありますので、仮組みをしてみて微調整をします。
▼組み立てはうまくいきました。

▼WATOCOオイル・ナチュラルで塗装しました。

6 ペーパーコードで座面張り|DIY椅子をおしゃれ&快適に!
以前に「平編み」をしたことがありますが「封筒編み」は初めてのチャレンジです。
▼ネットで購入したペーパーコード[早瀬工業(株)K5005]

▼ブログでは、巻き方を説明するのが難しいので、そのうち動画でご紹介したいと思います。

▼巻く途中で、紐と紐の間のすきまには、「あんこ」と呼ぼれる詰め物をしていきます。手に持っているのは、100均で購入したフェルト。それ以外に、ペーパーコードを広げたものを詰めています。
▼完成しました!!
