今回は、簡単に同じ長さでカットができる「丸ノコスライド台」の製作方法をご紹介します。
家具作りでは、同じ長さのパーツが複数必要となるケースがほとんどです。
例えば「椅子」の場合、同じ長さの「脚」や前後左右で同じ長さの「貫」が必要。少しでも長さが違うとガタついてしまいます。
横切り盤やスライド丸ノコがあれば問題ありませんが、丸ノコしか持っていなくても、丸ノコスライド台を自作すれば、簡単に同じ長さの材をカットすることができるようになります。
DIYの家具作りには欠かせない治具なので、参考にしてください。
▼完成した丸ノコスライド台。自作のホールドダウンクランプは無くても大丈夫。

▼別の記事で紹介した「丸ノコ定規」と同じで、アルミバーを丸ノコガイドで挟む構造です。

1 今回製作する丸ノコスライド台の構造
<スライド部分の構造>
一般的には、L型のアルミアングルを使って丸ノコをスライドさせる構造が多いと思いますが、今回は、合板(厚さ12mm)にアルミバー(幅30mm、厚さ3mm)を設置し、丸ノコガイドで挟む構造です。
アルミアングルの場合、L型の高さが丸ノコに干渉したり、強度が不足してたわんでしまったりして、ピッタリのものが見つからないこともあります。
合板とアルミバーならどこでも入手可能ですし、どの種類の丸ノコでも製作できます。
<高さ>
自分の丸ノコの刃を目一杯出した状態で使用した時に、刃がスライド台のベース部分まで届き、数ミリ程度カットするぐらいの高さします。
私の丸ノコは、刃が58mmほど出ますので、40mmの角材の上に、12mmの合板をのせて使用すると、6mmほどスライド台のベース部分をカットする計算になります。
<奥行き>
奥行きが520mmとなっていますが、40mmの角材2本分を除くと、440mmの幅までカット可能です。
この幅は、これまで自分が制作したものの中で一番大きなサイズ(キャビネットの天板)に合わせています。
<横幅>
横幅は広いに越したことはありませんが、大きすぎてもかさばりますので700mm程度としました。
<ホールドダウンクランプ>
ホールドダウンクランプを設置するために、Tスロットトラック(19mm幅)を埋め込む溝を掘っています。この深さが9.5mmとなるため、ベース部分は厚さ18mmのラワンランバーコアを使用しています。
このホールドダウンクランプは無くても問題ありません。また、溝を掘る必要がなければ、材の厚みは15mm程度でいいと思います。

2 丸ノコスライド台の製作手順
(1)必要な材料のカット
ラワンランバーコアはホームセンターでカットしましたので、合板、角材、アルミバーをカットしていきます。

▼合板を丸ノコ定規を使ってカット。最終的には幅120mmですが、この段階では少し広め(130〜140mm)にカットしておきます。(丸ノコ定規の作り方は別の記事でご紹介しています。)

▼長さ620mmでカット。

▼ノコギリで700mmと120mmの角材をカットします。

▼アルミバーを620mmでカット。アルミは柔らかい金属なので丸ノコで木工用の刃のままでも簡単にカットできます。不要な角材に乗せてカットしています。

(2)丸ノコをスライドさせる部分の加工
丸ノコをスライドさせる部分の合板とアルミバーの加工をしていきます。
▼アルミバーをビス止めするための穴の加工。ビスが入る大きさで穴を開けた後、皿取りもしておきます。

▼合板のまっすぐな辺に沿ってアルミバーを設置します。まずは、ボンドで接着。今回はアルテコ瞬間接着剤と硬化促進スプレーを利用したので、すぐに固定できました。

▼ビスでアルミバーがずれないよう、ビス穴の中央に下穴をあけてます。

▼ビス止め。皿取りをしてビスの頭が出てこないようにしています。

▼アルミバーを丸ノコ本体と丸ノコガイドで挟んで、合板をカット。

▼丸ノコガイドは写真のように、普通と反対向きの設置しています。

▼丸ノコガイドの先端に付けている板のサイズ。この板をつけることで、アルミバーを挟むことができます。(丸ノコの種類によってサイズを決めてください。)

(3)ホールドダウンクランプ用のTスロットトラックの設置
ホールドダウンクランプを使用するためのTスロットトラック(幅19mm)を設置する溝を掘っていきます。
ただ、ホールドダウンクランプが使えなくてもカットはできますので、この工程は省略しても構いません。
▼Tスロットトラックの幅をとって2本の板を両面テープで貼り付けます。

▼トリマーで溝を掘ります。ビットは、ガイド付きストレートビットを使用。

▼ビットのガイド部分を2本の板に沿わせて掘っていきます。

▼Tスロットトラックをボンドで接着した後、ビスで固定しました。

(4)組み立て
カットした部材を組み立てていきます。
▼角材をボンドで接着した後、裏からビスどめしています。

▼スライド台の部分が角材に対して直角になるように設置します。この直角をだすことが一番のポイントとなりますので、慎重に設置します。

▼試しカット。

▼目盛りを角材に貼り付けて、簡単に必要な長さのカットができるようにします。


▼スライド台の右側部分にも、目盛りを貼って短い材をカットできるようにします。

(5)ホールドダウンクランプの自作
ホームセンターで購入できる材料を使って、安上がりのホールドダウンクランプを製作しました。
▼使用した材料

▼万力かモンキーレンチに挟んで手で曲げていきます。まず、直角の根本部分を挟んで角度を広げ、次に、両端を挟んで曲げていきます。

▼こんな形になれば完成です。先端にゴムシートを貼れば傷もつきません。

▼完成しました。クランプは両方で固定すると丸ノコがキックバックする要因になりますので、片方だけで固定するようにしてください。
